教育訓練(前期)について

毎日クタクタ。最も大変な3ヶ月。

大学の卒業式の翌日、オレは入隊した。
入隊してから3ヶ月間は教育隊で自衛官の基礎を学び、同時に体力練成で体を鍛えることになる。

普段の行動は数人の班ごとに行う。訓練もそうだが、飯を食うのも風呂にはいるのも一緒。もちろん個室などあるわけもない、狭い部屋に2段ベッドが5台ぐらいあって、そこに班員が一緒に生活する。オレの班は9人だった。
しかし、翌日に1人が辞め、しばらくしてもう1人辞めたので7人になった。
7人は歳も違うし、性格もバラバラだった。中には相性の悪いやつらもいて、良くも悪くもこの7人の間で色々なドラマが生まれた。

それにしても、自衛隊にいた2年間で、最も大変だったのはこの3ヶ月だった。

素人をわずか3ヶ月で自衛官に仕立て上げるわけで、かなりのスパルタ教育だった。
訓練メニューは小銃の分解結合、射撃訓練、戦闘訓練、基本教練など多種多様、これに加え、一日の半分は体力練成だった。
朝8時頃から夕方5時までが訓練時間だったが、実際は朝起きてから夜寝るまでゆっくりしている暇はない。
例えば、訓練が終わって夕飯の後、「強制的に」1時間ほど自主体力練成をさせられる。
また、靴磨き、作業服のアイロン掛け、ベッドメイキングなど、やることはてんこ盛りである。
精神的にも体力的にも毎日クタクタだった。

★ある日のスケジュール

6;00 起床(起床ラッパで飛び起きる。急いで服を着て隊舎の前に走っていく)
6:05 点呼(教官がストップウォッチで集合・整列が完了する時間を測っている。遅いとベッドの中からやり直し)
点呼のあと、腕立て腹筋懸垂、その後、班ごとに整列して走って食堂に行く。
6:30頃 食堂で朝飯。教官+7人揃って食べる。この間私語をすると怒られる。兵隊は早食いのスキルも求められる。食後は居室に戻って寝具をたたんだり、清掃したり、訓練の準備をする。
8:15 訓練開始だがその前に服装チェックがある。靴磨きやアイロンかけが不十分なら腕立てを命じられる。例えば作業服にシワが5箇所あれば腕立て50回だった。ヒドイ奴は朝から腕立て200回とかめちゃくちゃな事態になっていた(笑)。
駐屯地で国旗掲揚があって、それに敬礼して訓練が始まる。
12:00 班ごとに昼食。その後は居室でグッタリ。
13:00 午後の訓練開始
17:00 課業終了。夕飯。その後、洗濯、清掃、靴磨きなど。
18:00 強制自主体力練成
19:00 アイロンがけなど。自由時間もないことないが、外出もできず、班員同士で居室で愚痴を言い合う。
22:30 就寝。その前に就寝点呼。腕立て・腹筋・背筋。
深夜 たまに夜間射撃(笑)

まあ、訓練がキツイのは納得できる。それが自衛官の仕事だからだ。しかし、それ以外にも大変なことも多かった。
例えば、清掃。朝晩、隊舎の清掃があるが、かなり厳しい。清掃が終わったら教官(班長)の点検を受けなくてはならず、やり直しを命じられることも多い。この点検が小姑みたいに細かい。オレにとって清掃はストレスの原因だった。
他では、ベッドメイキングも大変だった。毎日ホテルのようにきちっとベッドメイキングしないと怒られる。また、朝はきちっと毛布をたたまないといけない。朝晩居室点検があるので、これが出来てないとやり直し。時々班長が怒って、毛布をめちゃくちゃにして帰っていく。
靴磨きも大変。光るぐらい磨く。もし、手抜きして泥がついたまま課業開始を迎えようものなら恐ろしい懲罰が待っている。
アイロンがけも大変。本当にピシっとしなくてはならない。これも毎朝点検される。シワが残ってたら腕立て。

あー、書いている内に色々思い出してきた。本当につらかった。(つづく)



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