任期満了退官の日
涙の意味は?
つらいいことがほとんど、楽しいことがわずかの2年間も過ぎ去り、ついに退官する日がやってきた。
最期の朝は戦闘服ではなくスーツを着てお世話になった上官・先輩たちに挨拶して回った。
そして、朝礼で退官の挨拶をした。半分ぐらい話したところで、涙が止まらなくなった。しかし、それを拭うことなく最後まで挨拶の言葉を述べた。
朝礼の後、隊舎から駐屯地の門まで中隊のみんなが並んで、オレはその前を歩きながら一人一人握手をしていった。
そして国旗に対し最後の敬礼。
最後の最後に、みんなから胴上げをされた。泣きながら「ヤッター!」と叫んでいた。様々な思いが爆発していた。
あれは何の涙だったのだろう?
苦しいことから開放された嬉しさ、でもないような気がする。
仲間と別れる寂しさ。それはあると思う。あの時は鬱陶しい先輩ですら名残惜しく感じたものだった。
でも大きかったのは達成感かなあと思う。
オレは仕事もあまりデキなかったし、平凡な自衛官だったけど、2年間苦しいことに耐えぬいたことだけは誇りに思っていた。そして、失敗も多かったが、苦労して様々なことをやり遂げた達成感は十分にあった。
オレは自衛隊に入隊して心底よかったと思う。何度も言うが、楽しかったからではない。自衛隊でしか経験できない、かけがえのない経験をさせてもらったからだ。
良くも悪くも、自衛隊での経験は、今に至るまでオレの中で生き続けている。一生忘れることはないだろう。
たった2年間だったが、俺の人生を変えた、大きな2年間だった。
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